ドライクリーニングの溶剤管理
ドライクリーニングで様々なトラブル(クリーニング事故)を防ぐ為には『溶剤管理』というものが必要です。
『溶剤管理』とはその名の通りドライクリーニング溶剤の管理。
なぜドライクリーニング溶剤の管理が必要なのかと言うと・・・。
ドライクリーニングでは「水以外の溶剤(液)」を使用して洗います。
クリーニング店で使用しているドライクリーニング溶剤には
①石油を精製して作られた『石油系溶剤』
②塩素系有機溶剤の『パークロロエチレン』 等があります。
(左図は一般的なドライクリーニング機内での溶剤の流れ)
この溶剤は水のように下水に排水出来ない為、フィルター(ろ過設備)によるろ過や蒸留装置により浄化し、繰り返し使用します。
左図のように、ベースタンクに溜められている溶剤が 「フィルター」 や 「活性炭」 といった 「ろ過装置」 を通して洗浄ドラム内に汲み上げられ、衣類から落ちた汚れを含んだ溶剤がベースタンクへと再び戻っていきます。
このようにドライクリーニングでは溶剤を繰り返し使用する為、ろ過装置などで溶剤を絶えずキレイな状態にしておかないといけません。
溶剤管理とは、ドライクリーニング溶剤を適切な状態に保つよう自己管理する事なんです。
その管理に必要な必須項目は・・・。
・適正なソープ(ドライクリーニング用洗剤)濃度
(濃度が低いと洗浄力及び逆汚染率(汚れの再付着)が高くなり、逆に高くなると風合い(ベトつき)変化につながります)
・適正な酸価値(ドライクリーニング溶剤に溶けだしている汚れの値)
(適正値でなければ、臭いや黄ばみの原因になります)
・ドライクリーニング溶剤に含まれる水分率
(適正値でなければ、収縮や色落ちなどにつながります)
・ドライクリーニング溶剤の透過度
(適正値でなければ、逆汚染率(汚れの再付着)が高くなったり風合いが悪くなったりします)
これらが溶剤管理の基本となります。
その他、各店舗によって溶剤管理の”こだわり”があります。
現在、大阪府クリーニング組合青年部では溶剤管理を基本とした「クリーニング店選びの際の指標」を作ろうと考えています。
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