以前、青年部ブログに載せた記事です。

 

 

「ドライクリーニングでは水溶性汚れは落ちにくい」と言われます。

でも、素材によって違いはないのでしょうか。

 

簡単ではありますが、実際に検証してみました。

 

コットン2種類(織物と編物)とウールの生地(共に市販されているもの)に醤油のシミ(原液と5倍希釈)を付けて通常のドライクリーニング処理を行いました。

シミは付けて一日程度経過したものです。

まずはコットン生地(織物)。


左が洗浄後、右が洗浄前。

左下のシミには水を滴下させ、シミと水分を馴染ませてから洗浄しています。

前処理をしなかった部分は変化がないように見えますが、水分を含ませた部分は大分と除去出来ています。

とは言え、完全には除去出来ていませんが。

次にコットン生地(編物)。


こちらも”織物”同様に一つのシミに水分を含ませて洗っています。
(こちらは右下のシミになっていますが・・・)

結果は先ほどの”織物”と同様、水分を含ませた部分のみ変化が見られます。

でも、シミの落ち具合が若干違っているように思います。

織物と編物の構造上の違いが原因かも知れません。

方やウール生地。


左から洗浄後1、洗浄後2、洗浄前。

洗浄1はドラム内の処理衣類の数が少なめで、左側のシミ(2種類)に水分を含ませて洗浄しています。

洗浄2はドラム内の処理衣類の数が多め。

結果は、水分を含ませた部分は見る限り除去出来ています。

水分を含ませなかった部分も、確認出来る程度に薄くなっています。

それと、洗浄1よりも洗浄2の方が汚れ落ちが良いように見られます。

生地への負荷(ドラム内での揉み作用)の大きさが影響を与えているようです。

但し、これは1店舗で行っただけのものです。

個々のお店での考え方や洗浄方法などにより、汚れの除去率も変化するのかも知れません。

今後は複数店舗によるデータ取りなどをしながら、調べて行きたいと思います。

ドライクリーニングの品質を上げるには洗浄理論や設備機能またはソープの性能だけを追い求めるのではなく、まずは基本となる溶剤管理をキチンとする事が一番大切な事だと思います。

その上で、次のステップに進んでいかないと・・・。

「キレイな溶剤を使用している」とか「逆汚染・再汚染が無い」などという事が消費者に向けてのアピールポイントとなる事よりも、それが当たり前の品質として消費者に認知されるような業界にしていかないとと思います。

溶剤管理について、お困りの事がございましたら一度青年部へいらっしゃいませんか?

よろしくお願致します。